カニは腎陰を補います
冬はカニのおいしい季節です。カニは、五味では鹹(しおからい)に分類され、寒性で腎陰を補います。 年を取ると、体を落ち着かせる要素である陰が少なくなります。腎陰虚(腎陰が少なくなる)になると眼が乾いたり、コラーゲンが少なくなるので腰や膝のクッションがなくなり、痛みが出やすくなります。また、体を落ち着かせることができなくなるので、不眠やのぼせ、手足のほてりが出てきます。腎陰を増やすには、カニ以外にもスッポンやワカメなどの海藻類がおすすめです。
かぶれにカニ
全国でカニを使った民間療法がみられますが、カニを民間薬として利用する場合、淡水に棲むサワガニやズガニなどを用いるのが一般的です。 ウルシかぶれや尿のかぶれには、サワガニ10匹から20匹を生のまますりつぶし、その汁を塗ると大変よく効きます。すりつぶしたカニをうどん粉に混ぜ、糊状にのばして患部に塗り、上から油紙でくるむ方法もあります。
火傷や傷にも
火傷や傷の時にも、カニをつぶしたものをもんでつけます。 鳥取で作られた伯州散(はくしゅうさん)という薬は、マムシの黒焼とモクズガニと鹿の角をつぶして粉にし、傷に湿布します。これは江戸時代から伝わる方法で、刀傷の化膿を防ぎ、傷や火傷を早く治します。肉芽が早くできるので回復が早まり、外科手術の後に化膿止めとして使われることもあります。 カニの殻に含まれるキチンキトサンは、免疫力を上げ、膝の痛みのクッションの材料となります。また、高分子ポリマーが傷口を守ります。 腎臓病、肋膜炎、寝汗、気管支炎にもカニをつぶした汁はおすすめです。1日に10匹くらい煎じて飲みますが、妊婦は使用してはいけません。
参考文献:『よく効く民間薬100』村上光太郎、マキノ出版
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