ジャガイモ
ジャガイモは温性で体を温めるので、冷え性に良い。 アメリカを中心にジャガイモの研究が進められている。ジャガイモには豊富な栄養素が含まれ、ジャガイモと牛乳だけで毎日に必要な栄養が取れるというアメリカの研究もある。 肥満体が多いロシアでは、ジャガイモ中心の食生活を送っていることからジャガイモを食べると太るというイメージがある。しかし、同じロシアで、これと逆の、ジャガイモを食べると痩せるという研究がある。
【ジャガイモの効果】
@中性脂肪とコレステロールを下げる。
A粘質成分が胃と腸の粘膜を守る. ジャガイモは、胃壁の外側にある粘膜を修復する。日本人には胃の悪い人が多く、一時的に胃癌が少なくなったが、最近また増加傾向にある。ステーキや海老など消化に負担がかかるものを食べ続けていると、胃が荒れてくるので、胃腸を守る食べ物を勧める。 生のジャガイモをジュースにして飲むと胃潰瘍や胃の痛みに効くというアメリカの大学の研究がある。 最近、特に老人に慢性萎縮性胃炎が多い。性差はなく、70代で発病率が高くなる。ストレスよりも食生活と関係しており、酸性の物を食べ過ぎることが原因の一つと見られている。慢性萎縮性胃炎は、老人の胃癌の原因の1つにもなっている。山形、兵庫、秋田、高知の酒どころで胃癌の発症率が高いのは、酒が粘膜を欠損するからである。 年をとると、大抵腸にポリープが見られるので、腸の粘膜を守るものを食べるのがよい。サツマイモにも粘質が含まれるので、粘膜を守る。また、粘質物質は、関節、肌、免疫にも良い。
B繊維が多い。 繊維は胃腸の痙攣や痛みを緩和する。便秘改善にもいい。
Cカリウムが多い。 かつて、血圧が高い人はカリウムを避けるようにといわれていたが、最近は、カリウムは心臓の筋肉を強くするのでいいといわれている。 今は、血圧が低い人、心臓の弱い人、冷え性の人が多い。100gのジャガイモには、オレンジ並みの190mgのカリウムが含まれる。しかも、ジャガイモのカリウムはビタミンB、Cとの複合体なので、ナトリウムを排泄する働きがある。ビタミンCは細胞の新陳代謝に関係があり、ビタミンCがないと内臓がうまく働かなくなる。
Dアルカリ性食品である。 フリーラジカル等、体の酸性物質を中和する。
【ジャガイモの漢方的な効果】
@『本草綱目』によると、小児の水疱瘡や大人の胃炎にジャガイモが使われる。 薬膳にはジャガイモのお粥があり、子供の水疱瘡や大人のヘルペスの治療に使われる。特に皮膚が乾燥する冬は、じゃがいものお粥がおすすめである。ジャガイモのお粥は、ジャガイモの皮をむいて、角切りにし、米と一緒に炊く。黒米を入れると相性がいい。
A心不全 ジャガイモにはカリウムが多く含まれる。ジャガイモの茹で水を飲むと、心不全が治るという、アメリカの研究もある。ソラニンは猛毒として知られているが、少量のソラニンは心筋梗塞の予防や脳梗塞の治療、小児癲癇、小児麻痺にハーブ療法として使われることもある。しかし危険なので素人は真似してはいけない。
B火傷 ジャガイモの汁を火傷につける。
C床ずれ 床ずれに、ジャガイモのお粥と伯州散(マムシを炭化させたもの)を混ぜて使用すると良い。
【レシピ】
■ 酸辣湯(スーラータン:ジャガイモのスープ)
材料:ジャガイモ、豚肉、酢、コショウ
作り方:豚肉とジャガイモを千切りにする。豚肉を炒めて、ジャガイモをさっと炒める。水を加えて、酢とコショウで味付ける。
■千切りジャガイモの酢炒め
材料:ジャガイモ、山椒油、黒酢
作り方:ジャガイモは千切りにして、水で洗う。山椒油を薄く引き、ジャガイモを歯ごたえが残るくらいに軽く炒める。黒酢で味付ける。 山椒油は、油を熱して山椒を加えて作る。一週間ほどもつので、調味料として用いると良い。山椒は体を温めて湿をとるので、水の新陳代謝が良くなる。虫の毒や皮膚病、湿疹等の内臓の毒を解毒する。 塩だけで味付けすると仕上がりがベタベタした感じになるが、酢を入れるとベタつかずに仕上がる。中国には、ジャガイモを酢に一晩漬けてから料理する料理人もいる。 ジャガイモは油と相性が良くない。焦げた部分はおいしいが、発がん性があるので、シャキシャキ感が残るくらいに炒める。
■ジャガイモと大茴香の煮物
材料:ジャガイモ、豚肉(ブロック)、鶉の卵、大茴香
作り方:豚肉とジャガイモを同じくらいの大きさの角切りにする。鍋に油を薄く引き、豚肉を炒める。ジャガイモと殻をむいた鶉の卵、水、大茴香を加えて煮る。 大茴香は八角とも呼ばれる。体を温め、インフルエンザの予防に使われる。タミフルの原料は大茴香から取るが、イギリスで鳥インフルエンザが流行した時、鳥のえさに大茴香を混ぜると治ったことから、鳥インフルエンザにも効果があるとされている。
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