■ 梅
梅は、昔は万能薬として重宝されていました。
薬用には梅実、白梅、烏梅(うばい)などが使われます。民間では熟した実の「梅実」が使われます。「白梅」は青い実を塩漬けし、乾燥したものです。
漢方では主に未熟な実を薫蒸して乾燥した「烏梅」が使われます。青い実をたきぎなどでゆっくり燻して乾燥させると実がシワだらけになって黒く変色し、カラスのような黒色になることからこの名がつきました。咳止め、下痢止め、解熱、?痰、回虫駆除に用いられます。
殺菌作用がありますので、擦り傷や切り傷にも内用及び外用されます。
民間的には烏梅の種をとった肉を煎じて飲み、健胃薬とします。慢性下痢や慢性病で口が粘っている時などにも使われます。
梅の実にはクエン酸が多量に含まれていますので、疲労回復にもおすすめです。
■ 桜
桜は日本人が開発した和薬の1つで、樹皮を乾燥したものが「桜皮(おうひ)」として、食中毒や急性胃カタル、痢疾などに用いられます。かの華岡青洲も化膿性皮膚疾患、蕁麻疹、急性湿疹などに使われる漢方薬の「十味敗毒湯」に桜皮を用いました。解毒、鎮咳薬の薬効があります。桜の樹皮から作られているエキス製剤のブロチンは鎮咳?痰薬としてよく知られています。
桜の民間療法には「しゃっくりに桜の樹皮を黒焼にし、粉にして白湯で服す」「マムシにかまれた時は、桜の皮の煎じ汁をつける」など様々なものがあります。なかでも慶事に出される「桜湯」は酒酔いをさまし、キノコの中毒にもよいとされています。桜湯は半開きの花を塩漬けにして白湯に入れて飲みます。
参考文献:青田恵太郎、『草根木皮』、医歯薬出版株式会社、1993年10月20日
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