鳥インフルエンザ大流行の懸念
インフルエンザの流行は周期的に起こり、特にオリンピックが開催される年に多い。今年はインフルエンザの流行が懸念されており、特に昨年猛威を振るった鳥インフルエンザの変異が恐れられている。 タイではトラが鳥を食べて鳥インフルエンザに感染して死に、中国南部では豚の体内から鳥インフルエンザが確認された。鳥から哺乳類へそして人間へとウイルスが変異することは十分予測でき、既にタイでは今年鳥インフルエンザによる死者が出ている。
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17万人が死亡の可能性・・・厚生労働省試算
日本においても今年7月30日、厚生労働省が「鳥インフルエンザウイルスの遺伝子が変異して人の間で感染する新型インフルエンザが出現した場合、日本では4人に1人が感染し、最悪で約17万人が死亡する可能性がある」と発表している。
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世界的にワクチンが不足
また、ワクチン不足も恐怖に拍車をかけている。世界で使われているワクチンを生産しているのはわずか18社であるが、その大手の1つである米製薬会社カイロンのイギリスにあるワクチン製造工場が、英保険当局から製造・出荷の一時停止を命じられた。同社はアメリカのワクチンの半分、イギリスのワクチンの20%を製造している。 製薬会社は売れると見込んだ数量しかワクチンを製造しないため、インフルエンザが大流行するとたちまち在庫不足に陥る。また、製造には最低4〜6ヶ月かかるため製造能力の不足は関係者が一致して認めるところである。
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ウイルスは爆発的に繁殖する
インフルエンザの原因はウイルスであるが、ウイルスは@鳥インフルエンザなどの毒性の強いもの、A一般的なウイルス、B体内ウイルス(体力が低下するとかかり、夏の風邪等がこれに相当する)に分類できる。これらのうち、Bの体内ウイルスや風邪の菌に対しては体力をつけることで対応が可能であるが、@とAに関しては体力は関係なく、かかるときはかかる。 ウイルスは飛沫感染で広がり、繁殖スピードが大変速い。6時間で1個から60億個にまで繁殖するのだが、体内で60億にまで増えてしまったらもうどんな薬も効かない。インフルエンザ薬の効果がないのは使うタイミングが遅すぎるからである。
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食べ物でウイルスに対抗する
では、どうすれば効果的にウイルスの数を抑えることができるのか。抗ウイルスの食品を食べることが有効な手段の一つである。 中国では伝統的に食べ物でウイルスに対抗する習慣がある。この時期になると病院ではお勧めの食べ物やお茶を掲示する。中国河南中医学院病院でも今年の秋、流行性感冒の予防法についてこのように掲示されていた。 今年の秋から冬にかけて高感染性の流行性感冒が心配されている。急な発熱や喉の痛み、全身の疼痛などが症状としてあげられる。 予防方法:大青、板藍根、葛根、滑石、生甘草などを煎じて服用するとよい。
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インフルエンザ予防にはタンポポ茶がお勧め
インフルエンザ予防の食品として抗ウイルス作用があるものと体力をつけるものがお勧めである。タンポポ茶は体を温めて体力をつけ、抗ウイルス作用もあるので大変適している。 @抗ウイルス作用があるもの 特にごぼう、長芋、白菜の根、大根の皮は薬に匹敵する効果がある。風邪をひくことは避けられないが、ウイルスの繁殖を抑えることができるので症状は軽くてすむ。 ・ごぼう:風邪の時に使われる漢方薬、銀翹散(天津感冒片)の主成分である。日本では野菜として食されているが、中国では薬として扱われている。 ・大根の皮:きれいに洗って浅漬けなどで食べるとおいしい。 ・大葉 ・梨の種:種を含めた周りの部分をユリネ、銀耳(白キクラゲ)、黒砂糖と煮込んでスープにする。 ・白菜の根:大葉、大根の葉、白菜の根、黒砂糖を煮込んでスープにしたものは妊婦の風邪防止にも効果的である。また、これをだしにしておかゆを作ってもよい。 ・ねぎ:生で食す。ねぎの辛み成分が抗ウイルスに効果がある。青ねぎよりも白ねぎの方がよい。 ・長芋:生で食す。 ・タンポポ A体力をつけるもの ウイルスが体内に侵入しないように粘膜を強化する。これにはビタミンAが有効である。ビタミンAはウナギ、菊菜、みかんの白いスジ、カボチャ、卵の黄身に多く含まれている。水に溶けにくく、脂溶性であるため油と調理したほうが有効に摂取できる。 十分栄養をとり、体を冷やさないようにするのが肝要だ。タンポポ茶には抗ウイルス作用があり、体を温めてウイルスに対する免疫力を上げる効果がある。これからの季節はタンポポ茶を飲んで病気に負けない体を作るように心がけたい。
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風邪の漢方薬
最後に、風邪の時によく使われる漢方薬を挙げる。銀翹散(天津感冒片)は風邪、発熱、喉の痛み、鼻水に効く。葛根湯は風邪の予防に効果的である。周りに風邪をひいている人がいて自分もうつりそうな時に飲む。麻黄附子細辛湯は体力が低下している人や高齢者に適している。抗ウイルス作用もある。
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<参考記事>
鳥インフルエンザ、人感染に変異なら死者17万人の試算 鳥インフルエンザウイルスの遺伝子が変異して、人の間で感染する新型インフルエンザが出現した場合、日本では4人に1人が感染し、最悪で約17万人が死亡する可能性があることが30日、厚生労働省の試算でわかった。現時点でウイルスの感染力は不明だが、同省はこの試算をたたき台として、治療薬の備蓄などを検討する。同省は「あくまで治療態勢を検討するための数字。適切な治療が行われれば、実際の被害は小さくなる」としている。 試算は、専門家らでつくる厚労省の新型インフルエンザ対策検討小委員会で示された。 これまでのインフルエンザの患者数などのデータから、米疾病対策センターが作った試算モデルに、日本の年代別人口構成などをあてはめた。その結果、日本の人口の4分の1に当たる約3200万人が感染すると推計した。 さらに、医療機関を受診する患者数は約1686万人で、入院するほど重症になる患者は約43万人だった。死亡者は約10万7000人とはじかれたが、流行の大きさによっては約6万9000〜約16万7000人に及ぶ可能性もあるとしている。 (07/31 12:32 朝日新聞記事より抜粋)
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<邵輝博士の実験室より>
秋の七草に数えられるススキ(オバナ)。気温が下がるにつれて色が変化し、秋風に吹かれて穂が揺れる様子は昨今では懐かしさすら感じられる秋の風物詩です。 私にとって秋は新米や柿の季節、食欲の秋です。東洋医学には季節のものは季節の病を治すという考え方があり、秋の咳やアレルギーの治療には秋のものが有効です。 漢方ではススキのことを芒草といい、秋の風邪や下痢に使われます。ススキを研究してみたところ、抗アレルギーや肥満細胞を抑制する効果があることがわかりました。 私は花粉の鼻炎があるので早速ススキのエキスを飲んで試してみたところ、効きそうです。何気なく道端に佇んでいるススキはひょっとしたら花粉症の薬になる可能性を秘めているかもしれません。さらに研究を続けていきます。ご期待ください。
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