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現代社会は食べ物の高カロリー化、クーラーの使用により湿の邪氣が溜まりやすくなっている。そのため、子宮内膜症、膠原病、パーキンソン病、アトピーなど湿に関係する病気が多い。
三焦は上焦・中焦・下焦と分けられる。三焦間はどのような関係があるのか?単純に脾が弱くなれば脾気虚、肺が弱くなれば肺気虚というのはわかりやすい。しかし、三焦病気の場合、上・中・下と関係している。また、三焦は水(湿)の流れと関係している。肺・脾・腎は水の関係である。
「脾は生痰の源」であり、「肺は貯痰の器」という言葉がある。湿が詰まると腐って、湿熱・痰となる。肺と脾の湿熱の場合の治療は、肺の瀉熱をすると肺が弱るのではないかという問題があるが、脾の湿は化熱して逆上せる。経絡から三焦経は秉風、大椎で太陽経、督脈を繋ぎ、湿を出すエネルギーとなる陽気はここから手に入れる。三焦は湿−陰、熱−陽を混合している場所なので、そこで経絡を立体的に考え、根本から治療する必要がある。そのポイントは利水と肺、脾、腎を強化することである。
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■ | 上焦 |
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肺は上焦にあり、太陰である。外感病、特に温病を受けやすい。今年は寒くなったり暑くなったりを繰り返す不安定な天気で、陽気が不足し、痰湿が溜まるので、風邪の咳は直りにくい。二陳湯(温胆湯)の様に暖めると痰湿を取りやすい。
花粉症の場合は葛根湯加辛夷川?を用い、太陽膀胱経と督脈を温陽することが必要である。あるパーキンソン病の患者は歩けなかったのが、小青竜湯、タンポポT−1、松節を使用して1ヶ月後、一人で1時間30分もかかる道のりをかけて電車で通院ができるまでに改善した。
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■ | 下焦 |
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下焦の腎である。腎というのは先天である。補腎しても先天の気は増えることはない。しかし、利水・利尿することで荷を降ろせば、結果として腎は強くなる。湿の病気は補腎と利湿が必要である。
不妊症患者にタンポポT−1を併用した時、大変いい効果がでている。ある36歳の女性の例であるが、不妊治療を3年間受けたにもかかわらず、妊娠できなかった。ところが、漢方周期療法とタンポポT−1を使用して2ヶ月後に妊娠した。
また、72才の女性の例であるが、今年2月から血圧が不安定な時は170/110から140/90まで変動し、浮腫み、めまい、動悸などの症状が出るようになったが、タンポポT−1、葛根湯加辛夷川キュウ、牛車腎気丸を使用して治った。
50代の糖尿患者は血糖値400、HbA1c 8.9であったが、タンポポT−1、牛車腎気丸を使用後に血糖値は100、HbA1cは6.0まで下がった。
これから梅雨に入り、湿邪が多くなる。三焦理論の利湿の方法論を参考にしてほしい。
二陳湯(温胆湯) | :痰湿 |
葛根湯加辛夷川キュウ | :太陽、督脈の陽気を強める |
小青竜湯 | :肺の水飲 |
タンポポT−1 | :利水利湿 |
松節 | :通絡止痛 |
神闕 | :健脾温胃 |
参苓白朮散 | :健脾利湿 |
牛車腎気丸 | :補腎利湿 |
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