Network for Natural Medicine 〜臨床各論〜  不妊症

 不妊症とは、正常な夫婦生活があって、2年以内に妊娠しない場合をいいます。
これは、通常、夫婦の90%以上が2年以内に妊娠するという事実に基づいています。
過去に妊娠の経験がないものを原発性不妊、妊娠したことはあるが、その後2年以上
妊娠しない場合を続発性不妊と言います。 不妊症の原因は以下のようなものが考えられます。
● 排卵因子排卵に導くホルモンの分泌が不調。多嚢胞性(PCO):卵巣で卵胞がうまく発育しない。若い女性に最近多い。LUF:卵胞の破裂が起こらない。
● 卵管因子卵管が閉塞している場合もあるが、卵子が取り込まれない、受精、分割の環境が不良などの機能不全も含まれる。
● 男性因子 精子の数が少ない、また運動、機能が悪いために受精できない。
● 着床因子 子宮内膜の不良。(子宮内膜が薄い、パターンの不良。)黄体機能不全子宮筋腫、内膜ポリープ、子宮腺筋症
● 頚管因子 精子が子宮管内に入らない。頚管粘液の不良。ヒューナーテスト不良。抗精子抗体(免疫的に精子を殺す抗体)陽性。
● 子宮内膜症 子宮内膜組織が子宮内宮以外にできる。不妊症、月経通、性交痛の主な原因と見られ、不妊女性に高い確立で認められるが、子宮内膜症でも妊娠することがあるので、本当に不妊の「原因」なのかどうかはまだはっきりとわかっておらず、不妊が続く結果、子宮内膜症になるのではないかと考える人もいる。
● 年齢因子 卵子、子宮の老化。30歳を超えると年に数%ずつ機能が下がり、35歳以上になると急に下がる。特に卵子の老化が注目される。
● 原因不明 不妊原因が特定できない。

広い意味では、ほとんどの不妊症は原因不明不妊といえるために、不妊症の治療は難しい。
不妊症の原因が1つの場合もあれば、複数の場合もあります。
また、2年以内に妊娠しない場合でも、すべての場合に原因、異常があるという訳ではありません。
妊娠というプロセスは大変複雑なためにいろいろな原因が考えられますが、根本的な原因がわからないため、「原因を取り除く治療」ができないのが不妊症の特徴でもあります。
また、不妊検査はどこまで有用なのでしょうか。
たとえば、「精子の数が十分ある」からといって「受精できる」とはいえませんし、異常があったからといって、それが本当に原因であるかどうかは実際のところはわかりません。
すなわち、検査ですべてが解決するということではなく、あくまで「現状を把握する」ものなのです。