Network for Natural Medicine 〜臨床各論〜  緑内障
緑内障は俗に「あおそこひ」ともいい、古代ギリシャのヒポクラテスが「目が地中海の海の色のように青くなり、やがて失明 状態になる」と記述しているところに由来しています。緑内障は「目の成人病」といわれるほど中高年に多く、中途失明する原因の上位を占めています。患者のほとんどは40歳以上で、日本国内でも200万人以上、実に30人に一人の割合で発症していると推定されています。
 
 しかし、緑内障は自覚症状がほとんど現れないため、実際に治療を受けている人の数は非常に少ないのが現状です。
 初期・中期段階になっても、自覚症状がないまま治療を受けていないという潜在的な患者を含めると、その数は全国でおよそ300万人とも言われています。
 では、緑内障とはどのような病気なのでしょうか。緑内障は、何らかの原因で視神経が障害され視野が狭くなる病気で、眼圧の上昇がその病因の一つと言われています。
 急性の緑内障では急激に眼圧が上昇し目の痛みや頭痛、吐き気など激しい症状をおこしますが、一般的には、視神経の障害はゆっくりとおこり、見える範囲も少しずつ狭くなっていくため、自覚症状を感じることはほとんどありません。
 ここで病因の一つである、「眼圧があがる」ということについて詳しく見てみましょう。
 目の中には血液のかわりとなって栄養などを運ぶ、房水とよばれる液体が流れており、これが循環することで、正常な眼圧を保っています。
 房水は毛様体というところでつくられ、後房から前房を経て隅角にあるシュレム管という房水排出口から眼の外に流れるという循環経路をとっています。眼圧は時間や季節によって多少変動しますが、ほぼ一定の値を保っています。
しかし、この排出経路が通りにくくなると、房水がたまりすぎて眼圧が高くなります。 左図は目の水平断面図と房水の流れを表していますが、眼圧が上がると矢印の方向に圧力がかかり、視神経を圧迫するために視覚に障害が現れます。緑内障にはいくつかの種類があります。 眼圧が高くなる原因によって主に原発緑内障、先天緑内障、続発緑内障に分けられ、原発緑内障はさらに開放隅角緑内障(隅角は正常なのに排出路の機能が悪いために房水の流出が滞り、眼圧が慢性的に軽度 上昇しおこります。)、閉塞隅角緑内障(体質的に狭くなっていた隅角がなんらかのきっかけでふさがれてしまうために急激に眼圧が上昇します。)に分けられます。
原発開放隅角緑内障房水の出口である線維柱帯が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇します。ゆっくりと病気が進行していく慢性の病気です。
発閉塞隅角緑内障隅角が狭くなり、ふさがって房水の流れが妨げられ、眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります。
正常眼圧緑内障眼圧が正常範囲(10〜21mmHg)にも関わらず緑内障になる人がいます。これを正常眼圧緑内障と呼び、開放隅角緑内障に分類されます。近年行われた全国的な調査の結果から、緑内障の約6割が正常眼圧緑内障であり、また欧米にくらべて日本人に多いらしいことがわかりました。
先矢緑内障生まれつき隅角が未発達であることからおこる緑内障です。
続発緑内障外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障です。

 
 緑内障の発症には、眼圧以外に視神経乳頭部の循環障害が重要な因子だとの報告があるが、この循環障害を惹起する因子としてET‐1(エンドセリンー1)が注目されている。ET‐1は強力な血管収縮作用を有する生理活性ペプチドで、眼内にも受容体の存在が証明されている。
ET‐1※誘発兎眼循環障害モデル
使用によるタンポポT-1の研究     谷口眼科 長谷川医師  緑内障で血中ET‐1濃度が健常者より高値であるとの報告や、網膜静脈閉塞症などへの関与で臨床的にも注目されている。さらにET‐1は、眼圧には影響しないで視神経乳頭血流のみを低下させることから、ET‐1の投与モデルは正常眼圧緑内障の病態モデルとして評価されている。そこで今回、タンポポT-1の経口投与がET‐1誘発の兎眼循環障害モデルにどのような影響を及ぼすかについて検討した。
 より臨床に近い形で、ET‐1投与によって視神経乳頭の血流減少、ET‐1誘発兎眼循環障害モデル緑内障を作成した。
 視神経乳頭血流減少をこの状態からタンポポT-1を投与した群では、投与1時間後より視神経乳頭血流量が増加傾向を示し、投与3〜5時間後では有意な増加を示した。または正常兎でもタンポポT-1による有意な血流増加を確認することができた。
 
◆臨床結果 8人緑内障患者または6人の眼圧高い傾向にある患者にタンポポT-1を投与することで、眼圧が下がり、眼底血流を改善するも確認をした。 ◆使用方法  毎日2袋以上を勧めるが、1袋でも効果があります。個人差がある。 ◆結論  以上のデータから長谷川氏は、「ET‐1誘発兎眼循環障害モデルにおける視神経乳頭血流量減少をタンポポT-1が抑制することが示されたことから、タンポポT-1は臨床緑内障患者の治療効果を裏付けされた。またはタンポポT-1が血流の改善作用を示すことが考えられた」と結論している。 最後に同氏は、今後の展望も含めて、タンポポT-1の使用により緑内障を改善し、手術の負担を減らす変わり次のような眼圧が高いまたは緑内障の患者にタンポポT-1の使用を勧めたいと述べている。
 
予防医学 と 再生医療
 緑内障の治療といえば眼圧を下げることを一番の目的になりがちです。視神経乳頭に傷がついてからでは遅いのです。視神経乳頭の血流を改善して、老廃物の排泄を促進し、血管を保護することが出来れば、またそれを予防の目的として実行することが出来るならば、これを予防医学・再生医療と明言してもいいのではないのでしょうか。長谷川医師の研究では、タンポポT-1を毎日服用することで、視神経乳頭での血流改善がなされたという結果がでました。また、同医師は60代女性に対して、タンポポT-1を勧め、飲んでから血糖値は300台から120mg/dlまで下がりました。HbAlも10から7まで下がりました。糖尿病性網膜症も沈静化という症例も出されています。
 東洋医学では目は水のたまるところであり、また、肝臓を元気にすることで、目は元気になるという考え方があります。肝臓を元気にすることで、水晶体の中に余分なたんぱく質が沈着することを予防して、白内障の原因を取り去り、また、たんぽぽT-1によって腎臓も元気にすることで、全身の水分代謝を活発にするのです。
 とはいっても緑内障の予防には、特に40歳以上の方は年に一度、眼圧、眼底、視野検査を受けることが一番大切だと考えます。その上で、病院や薬局薬店の先生によく相談して、食生活の改善から始めることをお勧めします。
 肉食生活(冬期)で体内に溜まった動物性の脂質を排泄する目的でタンポポの葉を食す文化がありました。  現代に生きる私たちは季節感がほとんどない食生活を営み、その代償として、多くの添加物を体内に蓄積しています。しかし、それを排泄する術を十分に持っていない、又は失ってしまった体質を取り戻すこと。  それが全ての予防につながるのだと思います。                  
   ※ET-1 (エンドセリン) エンドセリンは数種あり、その中でもET-1は極めて強い血管収縮作用を持っています。その為高血圧、心疾患などの病態との関連が大きいと考えられています。ET-1は血管内皮細胞で産生され血液中に存在します。もちろん大きな血管のみではなく、眼球内や子宮内、臍帯静脈でも産生されます。